
環境について話をしましょう。
パリ協定と京都議定書は、環境問題の中でも地球温暖化のお話です。
パリ協定と京都議定書はいずれも地球温暖化対策に関する世界的な協定です。
昔は学校で京都議定書を習いましたが、いまはパリ協定です。
地球温暖化がどれくらい重要な話なのかはここでは置いといて、パリ協定と京都義議定書の違いについてポイントを絞って見ていきましょう。
パリ協定と京都議定書の関係
パリ協定と京都議定書について、いずれも、地球温暖化を抑制するために二酸化炭素(正確には温室効果ガスですが、大半が二酸化炭素なので、二酸化炭素とします)を如何に世界中で減らしていくか、という条約・協定です。
まずは、外形的、表面的な部分での関係を理解しておきましょう。
パリ協定は2015年に、パリで行われたCOP21(※)で採択されました。
京都議定書は1997年に京都で行われたCOP3で採択されました。
※COP:気候変動枠組条約締約国会議(またどこかで解説します)
その時期からも分かるように、京都議定書の後継として、パリ協定があります。
当然ですが、京都やパリというのは、地名で、COPが開かれて、これらの条約が採択されたときの場所を表しています。
京都議定書はいろいろあって、意味をなさなくなりました(これはまた別途解説します)。
そこで、京都議定書に代わる新たな地球温暖化の枠組として、パリ協定が出来ました。
パリ協定と京議定書の違い
では、何が違うのか。
パリ協定は京都議定書と違って、画期的だと言われている点が大きく2つあります。
とりえあず、これだけ知っておけば、ニュースや新聞、世間話で困ることはないであろう、という主な違いを取りあげますので、理解しておきましょう。
- 対象国が違う
- 目標が違う
知っておくべきことはこの二つで大丈夫です。
細かいことを言うと、違いは結構あるようなのですが。
1.パリ協定と京都議定書は「対象国」が大きく違う
大きな違いの1つ目は、対象国です。
対象国というのは、京都議定書に参加して、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の排出の削減を行うことを約束する国のことです。
簡単にこの違いを言えば、京都議定書は先進国だけが対象、パリ協定は発展途上国を含む全ての参加国が対象。
この素晴らしさは分かりますでしょうか。
発展途上国は発展の途上にあるので、石炭火力発電等による安い電力を使った経済成長の途上にあります。まだ経済的にも厳しいです。
つまり、発展途上国はまだまだ二酸化炭素をたくさん排出して、経済発展をしたい訳です。
京都議定書では、そのような発展途上国には二酸化炭素削減の義務は負わせずに、経済的に余裕がある先進国のみで、たくさんの二酸化炭素(の排出)を削減しましょう、ということにしていました。
が、地球温暖化はもうそんなことでは止まらない状況、全世界で協力して進めないといけない状況のなか、当時のアメリカのオバマ大統領が中国やインドも説得して、パリ協定を実現したと言われています。
先進国だけでなく、発展途上国も二酸化炭素排出を抑えよう、となりましたが、流石に先進国と発展途上国の間ではあまりに差があるので、先進国は発展途上国に対し資金援助をすることになっています。
これがパリ協定と京都議定書の大きな違いの1つ目、対象国が違うということです。
2.パリ協定と京都議定書は目標が大きく違う
2つ目は、目標が違うです。
ここでいう目標は、パリ協定における世界全体の目標と、対象国が背負う二酸化炭素排出を削減する目標があります。
ここでは、後者の対象国が背負う国ごとの目標についての話をします。
(全体の目標も全然スケールが違うのですが、それは単に定量的な話なので、ここの違いとしては割愛します)
京都議定書では、先述の通り、先進国だけが対象となっていました。
その目標は先進国で各国ごとに、定められていました。日本は6%削減してくださいね、という風な感じです。
同じように、EUは8%、アメリカ7%、という目標がありました。
これは皆で話し合って、定められたものです。
一方、パリ協定は発展途上国も含めたすべての参加国が対象ですが、各国が自分で目標を決めて、それを達成する、ということになっています。
つまり、京都議定書はトップダウンで目標が決まり、パリ協定は各国が独自に定めるボトムアップのアプローチが取られたのです。
これらは定期的に見直し、モニタリングをしていくことになっており、各国はそれぞれが目標を定めて、そのための政策を決めて、実行して、その実績をモニタリングして、また新たな目標を立てる、ということを行ってくことになっています。
京都議定書とパリ協定の違いを知ることで、パリ協定が如何に画期的か、少しでも理解いただけましたでしょうか。
まとめ
- 地球温暖化対策の世界的な協定で、京都議定書の後継にあたるのが、パリ協定
- パリ協定は以下の2つの点において、京都議定書と違い、画期的
- 対象国が先進国だけでなく、発展途上国を含む全ての参加国が対象
- 各国の目標はトップダウンではなく、ボトムアップ(独自に策定する)のアプローチ