
思考法の種類で、クリティカルシンキングとロジカルシンキングをよく耳にします。
ロジカルシンキングの方はよく聞く言葉かもしれませんが、よく似た概念でクリティカルシンキングというものもあり、この両者の思考法の違いは何なのでしょうか。
MBAなどビジネススクールでは必須科目になっているくらいで、こういう思考法を染みつけると仕事の正確性と効率は格段に上がります。
今回はクリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いを見ていきましょう。
◆ロジカルシンキングとは
先に聞きなれているであろうロジカルシンキングからご説明します。
ロジカルシンキングとは日本語で「論理的思考」「論理思考」と訳されます。
論理って?と思うかもしれませんが、難しく考える必要はありません。
キーワードは因果関係、言い換えると繋がりです。
有名な論理としては、三段論法があります。
AはBである。
BはCである。
よって、AはCである。
Aという前提とBという前提から、AはCであるという結論を出します。
A、B、Cには因果関係があり、AとCを繋げています。
具体的な例で、見てみます。以下は三段論法で最も取り上げられる有名な事例です。
人間は必ず死すべきものである
ソクラテスは人間である
よってソクラテスは死すべきものである
人間は死ぬという前提とソクラテスは人間という前提から、ソクラテスは死ぬ、という結論を導いてます。
上記は周知、自明の事象ではありますが、通常、三段論法は推測をする際に使われます。
AはBよりも優秀だ
BはCよりも優秀だ
よって、AはCよりも優秀だ
AとCを直接比較できないときに、AはCよりも優秀だろう、という推測が立ちます。
こういった論法は普段の生活やビジネスのあらゆる場面で活用できます。
ある事実から、何かを推測するときに、あてずっぽう、思いつきではなく、因果関係、繋がりを意識して、物事を考える思考をロジカルシンキングと呼びます。
物事を論理的に考える人は、頭の中で自然とこういう論法を行っています。
では、次にクリティカルシンキングです。
◆クリティカルシンキング
クリティカルシンキングは「批判的思考」と訳されます。
少し違和感を感じるかもしれませんが、批判というのは否定というネガティブのイメージではなく、客観的というイメージを持ってください。
ロジカルシンキングに客観性を加えたものをクリティカルシンキングと思うとイメージ出来るでしょうか。
客観性とは、冷静に、一歩引いて、多面的に物事を見ることです。
そして、疑ってみること。
なぜ?なぜ?なぜ?と疑うのです。
疑う際は結局、ロジカルシンキング、因果関係・繋がりを考えるので、ロジカルシンキングはクリティカルシンキングに内包されていると思ってもいいと思います。
当然のようにやっていることも疑う。
それは本当に必要なことなのか?
英語ができるようになるためにTOEICの勉強をすることは必要なの?
毎日、会議をやっているけど、何のためにやっている?本当に必要なのか?
なぜそう思うのか、なぜやっているのか、を考える際に、その前提となっていることを考える、つまり何を問題としてそう思っているのか、そうやっているのか。
問題を定義する、と言ったりしますが、ある思考、行動をするに至った問題(イシュー)を見つけ出します。
問題が定義できればその思考や考えが本当に正しいものなのかというのがわかってきます。
ある行動をしようとしていたけど、問題は別のところにあって、本当は別の行動をとる必要があった、といったものです。
クリティカルシンキングとは、ある事象(思考や行動)を客観的、多面的にとらえて、疑う。
その前提、問題となっているものを見つけ出し、定義する、といった思考法です。
この過程には事実と意見を区別するとか、根拠を見つけて検証する、といったことも含まれます。
そして、これらを考える過程は全て論理的思考から成り立ちます。
つまり、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは明確に異なる思考法と区別する必要はないと思っています。広義ロジカルシンキングがクリティカルシンキングと考えておけばいいと思います。
特に区別して使ってる人もそんなに多くはないと思いますが、勉強するときにはこういうものなんだと思っておく程度でよいかと思います。